大ヒット中のNetflix韓国ドラマ『イカゲーム』(英題:Squid Game)は、人生に絶望したクズ人間456人が孤島に集められ巨額の賞金を賭けて壮絶な殺し合いのデスゲームを繰り広げるストーリー!
ドラマ『イカゲーム』は表面上はエンタメデスゲームですが、ストーリーには抽象的で深いメッセージがあり、考察する価値のある作品です。
デスゲーム黒幕はどんでん返しで、おじいさんのオ・イルナムだったわけですが、彼はなぜこのようなゲームを主催して参加までしたのでしょうか。
表向きの理由は、最終回9話でイルナム自身が言っていたように、「子供の頃の何をしても楽しかった気分を味わいたかった」ということです。
子供がやるようなゲームばかりだったのも、童心に帰りたいピュアな願いからでしょう。
ただ、最後のギフンとの会話で「君はまだ人を信じているのか?」と尋ねるセリフが引っかかります。
貧乏から金持ちにのし上がったオ・イルナムは、その過程でたくさんの裏切りにあったでしょう。
こんなことなら貧乏なままでよかった。イルナムがそう考えたことも少なくなかったかもしれません。
そんな後悔の念を払拭するために必要なものは何でしょうか?
それは貧乏な底辺の人間もすぐに裏切る、底辺の生活もやっぱり最悪だと身をもって知ることです。
イルナムはそれを経験して人生の選択は間違いでなかったと実感するためにゲームの開催ホストとなり、実際に参加していたのかもしれませんね。
そんな中、ゲームで最後までオ・イルナムを心配し続けたのが、主人公・ギフンです。
イルナムはギフンと一緒にゲームするのが楽しかったと言っていました。おじいさんイルナムがギフンと過ごして、金持ちになってからでは得られない幸せな瞬間を感じたことが、自分の生き方の負けを認めることに繋がるのです。
だからこそ、それを払拭するために死ぬ前にギフンを呼び、最後の賭けをしたのでしょう。
ただイルナムは勝ちたかったのではなく、本当は最後の賭けに負けて人を信じる心を取り戻したかったのではないでしょうか。
ビー玉ゲームではギフンが騙していると知りながら彼の葛藤を見て最後の1個を渡したのも、人を信じる心が勝つところを見たかったからのような気がします。
そこまで考えてみると、ドラマ『イカゲーム』は単なるデスゲームでなくヒューマンドラマとしても素晴らしい終わり方ですね。
ストーリーの伏線的にも意味的にも、001のオ・イルナムがゲームを始めた者、456番のギフンはゲームを終わらせる者として綺麗に終わります。
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